ミニ・ミニ・レポート 大気差とカノープス 2018.01.19

毎年この時期、楽しみなのがカノープスです。
わが家からは、地上物の隙間からわずかな時間姿が見えるだけで、
うっかりしていると見逃してしまいますし、撮影しても電線やら何やらで雑然とした写真にしかなりませんが、
とにもかくにも自宅でカノープスが見られるのはラッキーと言うほかありません。
そんなおトク感や貴重感もあって、今年も1月12日、1月14日、1月17日と撮影しました。


写真① カノープス 2018.01.12 23h31m 30sec_11exp(比較明合成) iso800 D810A 1800mmF10(Mirage-7) 固定撮影

 


写真② カノープス 2018.01.14 23h23m 30sec_12exp(比較明合成) iso1600 D810A 1800mmF10(Mirage-7) 固定撮影

 


写真③ カノープス 2018.01.17 23h11m 30sec_12exp(比較明合成) iso1600 D810A 1800mmF10(Mirage-7) 固定撮影


三夜同じ構図で撮ったのは、ちょっと調べたいことがあったからです。
調べたいことというのは、大気差が気温で変化することを確認することです。
ついでに、この低空で一体何等星まで捉えられるか、
そして、自宅からの南限の星を極めてみたい、というのもありました。


まずは大気差から。
気温が低いほど低空の星が浮き上がる度合いが大きくなるといわれていますが、それを確認します。
温度計の精度は怪しいですが、1月12日は気温-3.0℃、1月14日は1.1℃、そして1月17日は7.4℃でした。
1月12日と1月14日の気温差は4.1℃、1月12日と1月17日とでは10.4℃の気温差です。
それぞれ画像を重ね合わせてズレがあるか見たところ、
気温差4.1℃ではカノープスの光跡が若干ズレて重なっている程度で、あまり明確な違いは出ませんでした(写真④)。
一方、気温差10.4℃では明確な二重線を描くほどのズレが生じていました(写真⑤)。
なお、画面右の煙突を基準にしてコンポジットしています。


写真④


写真⑤

やはり気温が低い方が浮き上がりが大きいという結果が出ましたが、
大気差は気温だけでなく気圧や湿度などにも影響されるそうですから、
実際はもっと複雑な要素が絡み合っていることを意識しておく必要はあります。


次に、何等星まで写っているかを調べてみました。
ステラナビゲータで再現した(写真⑥)で星を同定したところ、
三夜のうち、いちばん透明度が良かった1月14日の画像では、かすかに8.43等の光跡が確認できました(写真⑦)。
この低空で、しかもコンビナートの工場群が煌々と夜空を照らす真只中で、よくも写ったものです。
デジタルの眼は凄いですね。


写真⑥  AstoroArts ステラナビゲータ Ver.9で描画したものです


写真⑦  1月14日撮影の写真②をトリミングしたものです

 

最後に、写っている星の高度をチェックしてみました。
(写真⑦)で確認できる最も低空の8.43等の星は、
ステラナビゲータによると、光跡がいちばん下がった位置で高度3.04度でした。
もっと明るい星ならもう少し低くても写りそうです。
この構図の方角は、地形的に約2.5度より上しか見えないので、おのずとそこが限界となりますが、
あと満月ひとつ分ぐらい下まで「空」がある計算です。
もちろん、実際には地上物がありますので、そこまでは無理ですが、
この場所での南限の星を捉えてみるのも一興かと思います。

見通し線上に建物でもできれば、たちまちカノープスが見える環境は失われます。
いつまでこの環境が続くかわかりませんが、見えるうちはせいぜい楽しませてもらおうと思います。

 


 

 

ミニ・ミニ・レポート 地球照は月齢いくつまで見えるか 2017.01.19

地球照。三日月ぐらいの細い月のときはよく見えます。美しいものです。


地球照(月齢2.1) 2016.12.31 18h00m 3sec_4exp iso1600 D5100 日本光学5cmF15屈折 XP24mmリレー Losmandy G11


地球照(月齢3.1) 2017.01.01 18h35m 4sec iso800 D700 1800mmF10(Mirage-7) Losmandy G11

 

月が太るにつれ、地球照は目立たなくなりますが、
地球照はどのくらいの月齢まで見えるものか調べてみたくなり、続けて撮ってみることにしました。


地球照(月齢4.1) 2017.01.02 18h13m 3sec iso800 D700 1800mmF10(Mirage-7) Losmandy G11

 


地球照(月齢5.1) 2017.01.03 18h44m 4sec iso800 D700 1800mmF10(Mirage-7) Losmandy G11

 


地球照(月齢6.2) 2017.01.04 21h20m 4sec iso800 D700 1800mmF10(Mirage-7) Losmandy G11
輝面比は0.36。まだまだ余裕です。

 


地球照(月齢8.2) 2017.01.06 20h12m 1sec iso800 D700 1800mmF10(Mirage-7) Losmandy G11
輝面比0.57。上弦を過ぎましたが、地球照はまだ見えています。

 


地球照(月齢11.2) 2017.01.09 21h50m 4sec iso800 D700 AL-106Ⅱ(690mmF6.5)×2Barlow Losmandy G11
天気が悪くて中二日空けての撮影です。一気に輝面比が大きくなってこの日は0.88。
もう無理かと思いましたが、まだ地球照が認められます。画像処理には苦労しました。



地球照(月齢12.2) 2017.01.10 19h57m 6sec iso200 D700 AL-106Ⅱ(690mmF6.5)×2Barlow Losmandy G11
輝面比0.94。昨日より透明度が良かったためか、この月齢でも影の部分が出てきました。
もちろん、さんざんトーンカーブをこねくり回して、やっとのことであぶり出したものです。
ハレーションと区別するため、矢印を入れました。


この翌日も露出時間を変えながら何コマも撮影しましたが、さすがに無理でした。

 


 

 

鏡筒ホルダー 2014.10.01

ご存知アリミゾマウントです。
でも、どうして壁面に???

 

こうなります。

鏡筒を立てて置けば、床の占有面積は最小ですみます。
太くて短いカセグレン系の鏡筒は筒先を下にして立てて置いても安定していますが、細く長い鏡筒はそうはいきません。
そこで、こうすることにした次第です。
えっ? 何もアリミゾマウントみたいな高価(!!)なパーツを使わんでも、もっと安くできるアイデアはなかったんかいって?
これがいちばん工作が簡単だったもんで…。


 

お気に入りの一枚 2014.09.23

先日、モノクロフィルムのデータ化作業がようやく終了しました。
着手して15年。根気が続かず、途中、何度も長期の中断を繰り返しながら、ついにこの日を迎えることができました。
目ぼしい写真はこれからカビやキズの痕跡を補修していくことになりますが、
本日、手始めにお気に入りの一枚の復元作業をしてみました。
その撮影データを整理していて、ちょうど38年前の今夜撮ったものだと気付きました。
長いこと眠らせていたものです。38年ぶりによみがえった私のお気に入りの一枚。ちょっとだけお目にかけます。
題して、「オリオンがすぐそこに」。じっと眺めていると、そんなふうに見えてきませんか? 


オリオンがすぐそこに

1976.09.23 24h10m 露出15秒 NikonF2 50mmF1.4 固定撮影 Tri-X 徳山市(現周南市)須々万緑山


 

劣化にご注意!! アストロソーラー太陽フィルター

まずは下の2枚の写真をご覧ください。
円盤型UFOを下から見たようなものが写っていますが、そのことに意味はありません。
これはバーダーのアストロソーラー太陽フィルターをLEDライトの前に置いて撮影したもので、
注目していただきたいのは透過状態です。
新品と1年間望遠鏡のフードの前に被せっ放しで使用したものを比較すると、違いは一目瞭然です。
どうしても付着する微細な塵や埃が金属蒸着膜を劣化させるのかもしれませんが、
こまめに清掃すればするで、かえって膜面を傷つけそうですから、
この種のフィルターは消耗品と考えた方が良さそうですね。
なお、「新品」と表記したほうは、未使用という意味であり、製品自体は5年前に入手したものです。
なので、適切に保管してあれば経年劣化の心配は少ないと思われますが、
同じものをお使いの皆さんには時々チェックされることをお勧めします。

それにしても、LEDの光って強烈なんですね。太陽フィルターを透過するとは意外でした。

 

新品

 

1年間使用後

 

光源にしたLEDライト